相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時においてその契約を解約するとした場合に支払われることとなる
解約返戻金の額によって評価します。
なお、解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その金額を差し引いた金額により生命保険契約に関する権利の価額を評価することとなります。
- (注1) 生命保険契約には、これに類する共済契約で一定のものが含まれます。
- (注2) いわゆる掛捨保険で解約返戻金のないものは評価しません。
「生命保険契約に関する権利」について
保険契約関係(保険証券)を必ず確認すること!
相続財産にはプラスの財産と言われる不動産や現預貯金・有価証券等と、マイナスの財産と言われる借金等の負債があります。
そして、生命保険や死亡退職金のように被相続人が亡くなった事により相続人が受け取るお金をみなし相続財産といいます。
●生命保険契約に関する権利とは?
通常、死亡保険に加入している場合には
保険契約者・被保険者・保険料負担者がご自身で、受取人が配偶者や親・子などになっていることがほとんどだと思います。
この場合、被保険者が亡くなると保険金の受取人にお金が入ります。受け取った保険金は受取人の固有の財産になります。契約関係によって、受け取った保険金に課税される税の種別が所得税、相続税、贈与税と異なります。
保険料の負担・被保険者・受取人の関係によって
支払う税金の種類が変わります!
しかし、他の人を被保険者にして被相続人が保険料の負担をしていた場合、被相続人が亡くなっても被保険者が亡くなったわけではないため、保険金は発生しません。
保険契約には、「解約返戻金」があるものや、「満期保険料」のあるものがあります。
被相続人が生きていれば入るであろう解約返戻金や満期保険料などを受け取る権利を「
生命保険契約に関する権利」と言います。
そして、この
生命保険契約に関する権利は保険契約者と保険料負担者の関係によって本来の相続財産とみなし相続財産に分けられます。
《本来の相続財産になる場合》
被相続人が保険契約者・保険料負担者・保険金受取人/相続人が被保険者
▶夫が亡くなった場合、保険契約の権利は夫の財産
となるため本来の相続財産として扱われる
上記のような場合、
解約返戻金や満期保険料は、保険契約を行い 保険料を支払っていた被相続人に入る お金です。そのため、保険契約の権利は被相続人がもともと持っていた財産と判断されます。
《みなし相続財産になる場合》
被相続人が保険料負担者・保険金受取人/相続人が被保険者・保険契約者
▶保険契約者と保険料負担者が異なり、保険料負担者が
亡くなった場合は、解約返戻金や満期保険料を請求する権利を
引き継いだものとみなされ、みなし相続財産となります。
相続人が保険契約者ですが、保険料の支払いは被相続人の口座等から引き落としを行っていた場合など
保険契約者と保険料の支払い者が異なる場合、みなし相続財産と判断されます。
●生命保険の非課税枠は適用されない
生命保険の死亡保険金の場合、受け取った死亡保険金には生命保険の非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」までは非課税枠になります。しかし、
生命保険契約に関する権利にはこの非課税枠がありません。
●遺産分割協議書は契約内容でかわります
遺産分割協議は誰が何を相続するかを話し合うことを言います。本来の相続財産となる(被相続人が保険契約者・保険料負担者・保険金受取人/相続人が被保険者)場合には、生命保険契約に関する権利についても遺産分割協議で誰が相続するかを決定します。しかし、みなし相続財産となる場合、生命保険契約に関する権利は保険契約者のものとなります。そのため、
遺産分割協議の対象にはなりません。
生命保険契約に関する権利は保険契約の内容によって本来の相続財産となる場合とみなし相続財産になる場合があります。保険契約者、被保険者、保険料負担者、保険金受取人の関係がどうなっているかを確認し、保険契約に関する権利の相続が発生するかどうかをしっかりと把握しておきましょう。